ムズングのシュートは切なく青空を舞って


 
 
(※この文章は2014年・2月ウガンダ共和国にて作成した文章です。なお、ブログ内で使用している写真はNPO法人MUKWANOのサポートメンバーとして現地へ1人渡航し、その日々の中で撮影したものとなります。)
 
 
 
 
 
こんにちは!
小川光一です!
 
 
 
 
 
ウガンダシリーズ第6弾。
 
 
今回はサッカーと肌の色の話。
 
  
 
 



 
 
唐突だけど、
サッカーってすごいんですよ。
  
 
 
他のスポーツと大きく違う点は
 
世界中「くまなく」親しまれてること。

 
 
 
アフリカの何処の国のどの山奥に行っても
バナナの皮を丸めたり、
ゴミクズ固めたり、
 
急造サッカーボールを
一日中蹴り飛ばしてる。

 
 
びっくりします。


そんなサッカーですが、
ウガンダも然り、ものすごい人気です。





 
 
ただ、4年前にウガンダに来た時
すごく不思議な体験をしました。


 
 
 
ウガンダ共和国は元々
1962年までイギリスの植民地だったこともあってか、

とにかくプレミアリーグ(イングランドのサッカーリーグ)一色。


 
本当にプレミアリーグしか知らないんですみんな。


 
例えばクリスティアーノロナウドって選手が
マンチェスターU(イングランド)から
レアルマドリード(スペイン)に移籍すると、


「クリスティアーノがマンUから
世界の何処かの強いチームに消えた」
 
って言うんですたくさんの人が。笑


 
すごく興味深かったのを覚えてます。

  



 
 
 
そして4年が経ち。

 
街を見渡すと、
チャンピオンズリーグ
(ヨーロッパNo.1クラブを決める大きな大会)
のポスターなどが貼ってあるのが見受けられる。
  




これは絶対サッカー情勢変わったな。

入国日初日から確信しました。




 
 
 
予想は的中。
 
やっぱり圧倒的に街中は、
マンチェスターU、アーセナル、チェルシー
のユニフォームを着てる人で
溢れているのですが
(リバプールとマンCも少しだけ)、


 
 
 
たまーに見かける
インテル、バルセロナ、
レアルマドリード、ACミラン、バイエルン。

現地の人と話してても、
通じるイギリス以外のサッカー話。
 



 
 
 
 
この発展には個人的にすごく感動。

 
どうやらチャンピオンズリーグの放送も
プレミアリーグに加えて始まったらしく。
  
そんな点からウガンダのイギリス色の脱却、グローバル化を垣間見ました。


 
 
 
 
 
 



そして、やっぱり僕が滞在していた
山奥のホームスクールでも
サッカーが子供たちの全て。
  
  
 
前回2個サッカーボール持ってきたんですが、
今回は3個持ってった。どんなおもちゃよりも大歓声。
   
   
 
 
 
















 
 
 
 
 
 
そして今回は、
1個は男子、1個は女子(女子は投げて遊ぶ)、
ここまでは同じですが、
3個目はチビ男子用のチビボール!
 
 
チビ男子は大きいボール蹴るの大変な上、
すぐ上級生に取られちゃうんですよ。
 
それで。
 
 
 
 
 
実はこのチビボール。
 
 
俺が小学校卒業する時に
地元のチームの後輩やコーチが
寄せ書きしてプレゼントしてくれた3号球なんです。
 
 
 
 
 
 


























 
 
 
  
 
実家でほこりかぶってるよりは
この場所で愛されるサッカーボールであってくれた方が、
なんか廻り廻るこの縁を面白く感じるし、
僕の想い出も昇華されるような。
 


まさかこのボールが東アフリカのとある山奥で愛されるなんて
寄せ書き書いてくれた人たちも当時の僕も思わなかったことです。
  
 
 
 
 
 

 



 
 
僕は今回任務いっぱいで来てたので
そこまで一緒にサッカー出来なかったけど、
本当みんなキラキラしてたなあ。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
はい、ここからが本題。
 
 
 
 


そんな中
僕がその山奥を去る前日に、

ホームスクール出身者や先生を含む
「サマニャ選抜(ルワマグワ地区選抜)」
 
vs
 
隣町のいかつい猛者だらけ
「カンクンデ地区選抜」
 
でサッカー交流試合が行われました。
 
 
 
 
 
カンクンデ村で行われたアウェイマッチに、
僕もサマニャ選抜の一員として参加。
 
 
 
僕も曲がりなりにもサッカー経験者だし、
 
普段のホームスクールでのサッカーでも大活躍だったから
チームメイトの期待はすごく大きいものでした。
 
 
 
 
 
 
ただ、試合前から会場はなんだか不穏な感じ。
 
 
 
 
 
観客200〜300人居たと思うんだけど、
すごいよ僕に対する視線が。
軽蔑というかなんというか。
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
2トップの右で先発。
 
いよいよキックオフ。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
早速相手チームの僕をマークしてたDFが
小声で何度も囁いてくる。
  
 
 
 
  
 
 
 
「ムズング、ゲンダ ジャパーニ」
(ホワイトピープル、日本に帰れ)
 
 
 
 
 
 
 
 
このムズングという言葉を聞いた瞬間、
 
 
僕はこの会場の雰囲気が
何だったのかを知ったのかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
僕が腰や肩で、
 
要するに足以外でトラップすると
全部ハンドだってファウルを取られる。
 
 
 
審判はカンクンデ村の偉い人。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、
僕の渾身のドリブルを
思いっきり悪質なタックルで
削ってくる別の選手。
 
 
 
僕がぶっ倒れると、
観客が大歓声。
 
 
 
ニヤニヤしてる大人が見受けられる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
おい、

そういう感じ?
 
 
 
 
 
 

 
 
  
 
 
結局僕はその後も力を発揮できず。
 
 
 
 
 
 
 
一本やっと打てたシュートは
 
 
 
 
切ないくらい青空を舞って、
 
ゴールを大きく外れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
30分ハーフ、
後半半ばで交代。

 
 
 
応援にわざわざ1時間くらい歩いて
駆け付けてくれていた子供たちは
 
観客の雰囲気に戸惑いながらも
「koko!良かったよ!」
  
 
 
って笑顔で肩を叩く。
 
 
 
 
 
 
 
 
結局、1時間の大熱戦は
スコアレスドロー(0-0)に終わった。
 
 
  
 
両チーム称え合う中で僕は蚊帳の外。
 
子供たちと歌を歌いながら
1時間山道を歩いてホームスクールに戻った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
標高も明らかに日本より1500mとか
(厳密な数値わからないけど)高い中、
 
体力ないのに45分くらい走り回ったからか、
手足の痺れが収まらなくて、
 
20時にベッドに入ったのに、
朝5時まで眠れなかった。

  
 
 






 





ムズング。





現地の言葉で
ホワイトピープルという意味合いを持つ言葉。





あたかも俺の名前が
ムズングであるかのように、

老若男女ひたすら
「ムズング!」「ムズング!」って呼んでくる。





そこに差別的な意味を込めて言う人、
純粋な言葉そのものとして使用する人,

  
両者がいることはニュアンスで分かるし、
 
正直後者の方が多いと僕は信じてる。
 
 
 
どこを歩いていても
子供たちは屈託のない笑顔で

「あ!ムズング!」
「ムズング!またね!」
  
と珍しい白人に喜んで
手を振ってくるしね。
 
 
 
ただ、ムズングという表現を嫌う白人と、
特に意を介さない白人がいることは
こっちで色んな人と話してて思うけど、
  
  
僕も割と気にならない方だったんだけど、
  
このサッカーの一件で
すごく気になるようになった。
 
 
 
 
 
 
 
 
なんで生まれた国が違うだけで、
 
 
 
 
 
肌の色が違うだけで、
 
 
 
 
 
区別というものが生まれてしまうんだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
元々サッカー界では、ヨーロッパリーグとかで
黒人が人種差別の野次を受けて試合ボイコットする、
 
なんていうのもよくあるけど
 
 
 
 
 
なんだかボアテングやバロテッリの気持ちが分かったというか、
 
到底分かり得ないくらい、
あんな矢面に立ってたら
本当につらいんだろうなあと思った。

 
 



 
 
この世界は色んなものをカテゴライズし過ぎだ。
 
 
 
 
もっと一つでいたいのに。
 
 
 
 
 
 
僕があの日ゴールを決めていたら
何かが変わっていたのだろうか。